第2章 危険な香りが漂って
リフレッシュって。七瀬さんは深夜の飲み屋で働いているからあれも仕事のうちなんだろうけど昼間っからやめてもらいたい。今度会た時に僕の仕事の妨げになるからやめろって言わないといけないな。でもその前に僕の仕事について言っておかないと。あの時は西田が新人歓迎会とは言っていたけどどんな仕事とは言っていなかったからな。
僕はお茶がこぼれた弁当をひたすら食べていた。お茶がかかって変な味になってしまった。これじゃあ折角莉子が作ってくれた弁当が台無しだな。でも食べないと理由を言わなくてはいけないから仕方がないか。
やっと弁当を食べ終え残り減ってしまったお茶を飲み干すと僕はため息をついた。
ああ、今日は晴れているから午後の配達がきついだろうな。
そして案の定その時は来てしまった。
「水島君は18件回ってもらうわね。清水君は25件ね。木下君は初日だけど頑張ってね!15件回ってもらうわ。」
武田部長が僕らに指示を出す。
武田部長がいない時は局長が指示を出してくれる。そして今日は西田が休みなので木下が初めて配達に回ることになった。
「頑張れよ、木下!」
僕は木下の肩を叩き励ました。
「ありがとうございます。」
そしてそれぞれがヘルメットを被りバイクに跨って手紙を届けに走った。
ぶおおーん!
「それにしても凄い音だな。」
僕はつくづく思う。まぁ、ヤンキーの夜間のバイクの音に比べたらまだましなんだろうけど。
カランカラン!
今日は手紙と一緒に広告も入れた。
「あっ、桜が満開だ!」
僕がお客様の家を出ると通りに桜並木が広がっていた。
「うわー今年も見事に咲いたなあ。」
僕は桜並木を通り抜けて次のお客様の家へと向かった。
只今4月真っ只中。みんなはそれぞれお花見を楽しんでいることだろう。
僕が配達から帰ってくると局長が今度の休みに集まれる局員だけ集まって近くの公園でお花見をやろうと言った。
「やったー!」
僕は水島と木下と抱き合って喜んだ。
「西田にも知らせないとな。」
僕が頷いていると武田部長がにやりとした。
「私も行かせて頂くわ。」
「武田部長も行くんですか?」
僕は驚いてしまった。
「私が行っちゃいけないの?」
武田部長は眉を顰めた。
「意外だなあと思いまして。」
僕は思ってもみなかった言葉に少し戸惑っていた。
「時間は11時30分に集合だぞ!」
局長の言葉にみんなも盛り上がった。