第2章 危険な香りが漂って
暫くすると料理が運ばれてきた。
「彩野菜とチキンのグリルのお客様。お待たせしました。ハンバーグセットでお待ちのお客様、お待たせしました。かき氷は食後でよろしいでしょうか?」
転院が笑顔で僕らに尋ねた。
「食後でお願いします。」
「かしこまりました。」
そして僕らは食べながら会話をした。
「そう言えば七瀬さんの本名聞いてなかったよね?男の時の名前は何?」
「ああ、知りたい?」
僕はそう言われてごくんと唾を飲み込んだ。
「後でこっそり教えてあげるわ。」
すると七瀬さんが耳打ちしてこう言った。
そんなに知られたくないのかな?まあ、教えてくれるんだしな。
「ああ、美味しい。」
僕は笑顔で食べた。
こんなにおいしいハンバーグがあったなんて。これは莉子の作ったのより美味しいな。
「私のも美味しいわよ。」
七瀬さんが頷いた。
「なるちゃんはいつからオネエになったの?」
「私は中学の頃かな?元は上に姉がいて小さい頃は姉と一緒にお人形遊びやおままごとをしていてね。そこから興味がわいたんだと思う。最初は性同一性障害の可能性も考えたんだけどやっぱり女の子になりたかったのね。だから高校の頃も少しは足しになるといいなと思って高校に通いながらアルバイトしたりしたもんよ。高校まではずっと学校の友達には男として通してきたからね。でも体育のプールの授業は恥ずかしかったわ。だって男の子の海水パンツを履くのよ。私にはとてもじゃないけど勇気が必要だったものね。それから大学でも通いながらアルバイトして色んな仕事を経て貯まったお金で整形したの。両親にカミングアウトした時はお父さんは口を聞いてくれなくなっちゃってね。お母さんは認めてくれたんだけど。お父さんを説得するのに何年もかかちゃったもんだわ。」
「なるほどねえ。ってことはもうきれいさっぱり女性の体なの?」
僕は気になっていたことを聞いた。
「ええ、そうよ。」
「じゃあえっと下半身のあれってちょん切ったの?」
「ああ、あれはね。私は麻酔で気が付かなかったけど手術で取っちゃったからね。無いのよ。今度見せてあげましょうか?」
七瀬さんは笑っていた。
ええ?今度見せてあげるって冗談だよな?まさか、本当に?
いきなりの展開にさすがの僕も驚いてしまった。