第1章 日常生活に魔が差して!?
莉子がお皿洗いをしている間僕は洗濯物を干していた。
「今日は天気がいいから絶好な映画日和だな。」
「そうね。とっても楽しみだわ。」
お皿を拭きながら莉子が言う。鼻歌を歌っている莉子はご機嫌なのである。
そして莉子の身支度が済むと家を出て車に乗り込んだ。
「ガスも閉めたし窓も閉めた。玄関の鍵も掛けた。さて行くか。シートベルトしとけよ。」
僕は一つ一つ確認していった。
「やあね。私だって大人なんだからシートベルト締めるくらいわかっているわよ。」
こうして久々のデートで映画を見ることになった。
映画館の駐車場もいっぱいであったが運よく一つ空いていたので駐車することができた。
「ラッキーだったな。」
「そうね。」
僕らは笑顔で言葉を交わし合うと車から出た。
「先に行っててくれ。僕は車の鍵を掛けていくから。」
「わかったわ。先に行ってるわね。」
映画館に入ると中にはたくさんの人でいっぱいだった。親子連れや若いカップル、友達で来ている人もいて様々だ。
「さて、おすすめの映画は何かな?」
僕はパンフレットを手に取り莉子と一緒に見た。
「さすがの美女と野獣は人気があって無理そうね。あっこれなんかいいんじゃない?」
莉子がパンフレットを指さして嬉しそうに言う。
メッセージかあ。確かアカデミー賞を受賞したんだよな。
「そうだな。これにしようか。僕チケット2枚買っていくよ。」
「ありがとう。私はここで待っているわね。」
僕はパンフレットを閉じてお会計へ向かった。そしてチケットを2枚買い莉子と椅子に座ってロビーで待った。
しばらくすると映画館のスタッフが僕らを呼んだ。
「メッセージの映画をご覧になる方はこちらへどうぞ。」
僕らと同じ映画を見る人で人だかりができていた。
「順番に並んでお願いしますね。」
そして席に着くと僕らは映画の上映を待った。
「はぁ~久々の映画だしわくわくするわね。」
「そうだな。」
莉子は僕の腕にべったりくっついてきた。なんだか付き合った頃に戻った気がした。
そして予告編が長く続き映画が始まった。主人公ルイーズ役は「アメリカン・ハッスル」「魔法にかけられて」のエイミー・アダムスだもんな。フォレスト・ウィテカーと共演してるなんてやっぱりハリウッドは凄いと思った。映画が始まると僕は真剣に見ていた。そして物語の中盤になるとすっかり映画の世界へ引きずり込まれていた。