第1章 日常生活に魔が差して!?
「あっ、そうだ。ごはん盛るの忘れてた。」
莉子がこっちに来る。僕はiPhoneを閉じてズボンのポケットに隠した。
パタパタパタとスリッパの足音がダイニング中に響いている。
「今日はお釜でご飯を炊いてみたのよ。その方がふっくらしておいしいかなーって。」
莉子が急いでご飯をよそってくれた。
「ありがとう。」
僕は目の前の朝ご飯に手を付けて食べ始めた。
思い出したぞ!昨日はオカマのキャバクラに行っていたんだ。確かお店の人気No.1の七瀬愛美とか言ったかな?でもいつの間にLINEのアドレス交換したんだろう?そこだけが思い出せなかったがきっと昨日酔っぱらっていたせいだと自分に言い聞かせた。
ああ、LINEの返事どうしようかな?
「このご飯おいしいでしょう?」
莉子が頬杖をついて嬉しそうに話す。
「ああ、おいしいよ。」
僕は今の感情を押し殺してそう答えた。
食事が済むと食器を下げにキッチンに入る。
「流しに置いてくれれば洗っておくわね。」
「ありがとう。」
僕は流しに食器を置いて歯を磨きに行った。
洗面台の前の鏡で自分の顔を見る。昨日の事が思い出せなかったなんて相当疲れてるなぁと思った。歯ブラシに歯磨き粉をつけ磨いていく。
あっ、髭も剃らなきゃな。昨日はお風呂に入ってなかったので剃刀で剃らなかったんだと悟った。口をゆすぎ、電動剃刀のコンセントを差してヒゲを剃っていく。
ウィーンという電気の音と一緒にヒゲが削れるジョリジョリとした音も聞こえる。
LINEの返信打たなきゃなぁ。でも折り入ってって急なことなのかなぁ?もしかして昨日お店で忘れ物したとか?きっとそうだな。
ヒゲが剃り終わると剃刀を片付けて寝室へ戻りLINEの返事を返した。
『昨日はどうもでした。明日の僕の仕事終わりじゃダメですかね?午後の5時30分には終わる予定です。遅れるようならまた返事打ちますね。』
よし、送信完了!
僕はiphoneを閉じてポケットに入れると伸びをした。
するとダイニングから莉子の声がした。
「ねぇ、悠真も折角の休みだしこの後どこか出かけない?」
「いいね。久しぶりに映画でも見ようか。」
僕は寝室のドアを閉めて階段を降りた。
「そうしましょう。」
「映画何がいいかな?」
そう言えば映画って最近見てなかったな。久々のデートでもしますか。僕は何を見ようか考えていた。