第7章 妻の考察と情報収集
他にも証拠を集めなくちゃ。そう思った私は悠真君の鞄に仕込んでおいた盗聴器を取り出して聞くことにした。
幸い、悠真君は入浴中なので聞くならこの時しかないと思ったのだ。そして盗聴器を鞄から取り出してスイッチを押すと仕事だようか?職場の人たちとの会話がしばらく流れていた。
「なんだ・・・仕事の話か・・・。」
そう少し安堵していると状況が変わったのか何か音が聞こえた。
ガラガラーと引き戸を開けるような音がして悠真君の声と共に見知らぬ女性の声がした。
「お届け物です。」
「いつもありがとうね。さぁ、上がって。」
ん?郵便物を届けただけなのに上がってとは?なんでお客様の家に上がらなきゃいけないの?印鑑やサインなら玄関先でもできるのにと思っていると飲み物を汲む音がした。
コポポポポポ〜
「暑かったでしょう?これ飲んでみてよ。」
「いつもありがとう。じゃあ遠慮なくいただきます。」
何を飲んでるんだろう?というよりもお客様の家で何やってんの?の方が勝っていた。
「この間の続きやって行くわよね?」
「ああ、もちろん。」
「ふふよかった。今日はお風呂でやりましょうか?タオルなら貸すわ。」
ここで衝撃的な発言を聞いた。だってお客様にお届けものしただけなのにお風呂に入ろうと誘ってきたこの女性が信じられなかったのだ。
「おーい!莉子!!!風呂上がったから入っていいぞ。」
すると遠くの方で悠真君の声がした。風呂場から出たのだろう。私は咄嗟にボイスレコーダーのスイッチを切って慌ててリビングの窓辺の花瓶の後ろに隠した。
「今行くわ。」
見つからなくて良かったけれど計画がばれたらおしまいだと自分に言い聞かせて脱衣所に歩いて行った。