第4章 (鬼)紅玉の夢
「おいくらですか、これ」
考えるよりも口を突いて問いかけていた。
「ん?…んー、お姉さんにあげるよ。もうすぐ店終いだし、それずっと売れ残ってて早く片付けたいからさ」
「ほんとですか!ありがとうございます」
思いがけない幸運に私は驚きながら頭を下げた。親切なおじさんだ。今日はよく売れたので機嫌がいいのだろうか。
包むからちょっと待っててね、とおじさんが袋を用意して鬼灯を新聞紙にくるむ間も、私はずっと目を離せずそれを見ていた。
傾く度にゆらゆら揺れて石が動く。金物の軋むような音はないので、悪いものではなさそうだ。
袋を差し出すおじさんに再度頭を下げて礼を言うと、私はそっと鬼灯を受け取った。
造りがしっかりしているのか思ったより重かったが、これが手に入ったのだから気にもならない。無性に心が高揚した。
帰ったら早速飾ろう。窓際の棚の上が空いているからそこがいい。きっと陽の光に当てられてきれいだろう。
わくわくしながら帰路についた。