第2章 _白
急に倒れてしまった少女を片腕で支えながら、刑事はぼんやりと思考を重ねる。
…倒れたけど、どうすりゃいいの。このまま放っておくわけにもいかねーし、目が覚めるのを待つのもな…。
何の気無しに触れた額は思いの他熱くて、風邪で熱が出ているのだと容易に判断がついた。
何でこんなに熱があるのに外を出歩いていたのかわからない。
…まさか熱に気付いてなかったなんて言わないだろうな。
洋服のあちこちが濡れていて、早急に水気を除いて温めてやる必要があるのは誰が見てもわかる。
一瞬車に連れて行こうかとも思ったが、車の中じゃ対応しきれない部分もあるだろうし、何より彼女の目が覚めた時知らない男と車の中なんて嫌だろう。
少し考えて、彼女に負担がかからないようそっと肩に乗せ担ぎ上げると、もう片腕で荷物と傘を手に歩き出した。
何か一見拉致ったっぽいなと考えながら、駅前のとあるビルに向かう。