• テキストサイズ

【ネウロ】 雨宿り

第7章 ______雇



何なんだろうここは。何なんだろうあの刑事さんは。
無条件すぎる優しさに、私はただ戸惑うばかりで。

「甘えといた方がいいと思いますよ。まだ、顔色あんまりよくないし」

女子高生さんが身体をかがめて私と視線を合わせる。
そこでようやく私は、彼女が最近有名な女子高生探偵の桂木弥子だと気付いた。

「あ…、でもこんなに迷惑かけて…」

「笹塚さんは本当に迷惑だなんて思ってないと思う。それよりも風邪こじらす方が大変だからさ、今日はしっかり甘えといた方がぶふ!」

笑顔だった弥子ちゃんの顔が沈んだ。その頭をがっしと掴むのは、青いスーツの美形さん。

「雑音は黙っていろ。我が輩は未来に用がある」

「…や、弥子ちゃん大丈夫…?」

「気にするな。この程度で死ぬ人間はいない。それよりも未来」

「は、い」

人をわしづかみにするような瞳が、気づけば至近距離にあった。硬直。
深い深い底無しを思わせる目に唇が震える。

捕食されそうな動物の気持ちってこんな感じなのかな。近すぎて逆に引けなくて、捕われたようにぞっとする程端正な顔を見つめた。
/ 18ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp