第1章 01~07
只今万事屋混乱中。
「ちょっ女って…女ってどういう事ですか乃芽さん!整形したオカマですか!」
「失礼な。男装してたって言ったでしょ」
「男装なんてカッケーアル!アネゴ!アネゴって呼んでいいアルか?」
「いいよ神楽ちゃん」
神楽が立ち上がって喜び新八がなかなか男装していた事を認めない中、銀時はしばらく呆然と乃芽を見つめていた。
何だろう。やっぱり信じてないのかな。
男装がそこまで完璧だったという点では喜ぶべきだろうが、女であるのに認めて貰えないなんてそれはそれで酷。
「あの。銀時…さん。私、本当に女ですからね?」
「…そんなん見りゃわかんだろ」
「あ だからといってお気遣いは無用ですから。男として生活してたので多少力に自信はあります」
「んぁ…わかったわかった。まーいいや」
銀時はだるそうに視線を落とす。
何がわかったというのだろう。勝手に自己完結されてしまった。
「それで? ここで働くんだろ?」
「はい。修理費くらいは働きます、もちろん」
「家はどこにあんだよ」
「家…」
そういえば。今まで城が家だったのだから、住む所なんてない。
「私、お庭番衆の仕事が嫌になって昨日逃げ出したばかりなので…家ないんですよね。あは」
「あはじゃないですよ乃芽さん! 逃げたんですかアンタ!しかもお庭番衆って言ったら超エリートなのに…」
「まあいろいろあってね」
深くは話したくない。話す義理もないのだから。
適当に笑っていると銀時がその意図をわかってくれたようで、ため息をついた。
その事に乃芽は少し驚いた。一見ぐうたらだが案外人を見ている。
そういう自分も、その些細な表情の変化に気付く辺り、人のことは言えないけれども。