第1章 01~07
「オメーも笑ってんじゃねーよ。あの屋根どうするつもりだ?どう弁償してくれるつもりですかコノヤロー」
「あっすみません、つい…。あの、ちゃんと働いてお返ししますから!僕頑張りますから!」
「働いてってそれを口実に逃げ出すつもりじゃねーだろうなァ。言うだけなら猿にでも出来んだよ。そんな事させねーぞここで働けや」
「逃げるだなんてそんな…!」
「んなひよわそーな身体してるがちゃんと働いてもらうからな。ビシバシいくから。ヤローには容赦しねーから俺」
乃芽は瞬く。
ヤロー?
あぁそうか。仕事中に城から逃げ出したんだから、そのまま来ちゃったのか。
男の格好で男の服で。
迷惑もかけたし、ここで仕事する事になりそうだし、このまま隠しておくのもやり辛くなりそうだ。
言うか、と乃芽は息をつく。
「あの、ヤローじゃないです」
「あん?」
「僕……私、」
髪を高くまとめていた紐をしゅるりと解けば、長い髪が落ちる。
更に着物を上半身脱いで腕を出す。
銀時達の目に飛び込んで来たのは真っ白なサラシと。
いくら隠そうとも完全には隠しきれない女特有の胸の膨らみと。
筋肉がついているとはいえ明らかに男にはない身体の丸み。白い肌。
「仕事上男装していましたが、女です」
男にしては高いと思っていたが、彼…いや彼女なりにわざと低く話していたのだろう。いきなりオクターブ程高くなった声で乃芽は言った。
その変化にこれ以上ないくらい目を見張る3人の顔が面白い。
笑える。
笑う所じゃないけど。
「はァァァ!?」
2008/03/31