第5章 24~
血筋からか両親の夢を感じているからか、彼は天人と地球人の共生を望んでいる。どちらを恨みもせずに、共に歩む手立てを考えていた。
要と同じ孤児院にいた乃芽は志を同じくし、幕府の一員にはなれずとも、せめて二人で一緒にお庭番衆になる事に決めた。
お庭番衆になる事は夢を叶える重要な手助けだと、思っていた。
だけど。
「他人任せなだけだよ」
「何?」
「幕府が夢を叶えてくれるのを待つなんて、他人任せだって言ってるの」
突き放すような言い方に要はむっとしたようだった。
「じゃあお前は、自分で夢を叶える為にこんな茶番をしたわけか?」
「少なくとも今の幕府じゃ無理。ただ天人に尻尾振って、言いなりになって、馬鹿みたい」
「言い訳だ。俺は、自分で出来る事と出来ない事を見極めてるだけだ」
「それこそ逃げの言い訳でしょう。出来ないって決め付けるのは逃げてる証」
孤児の自分達では、どう足掻いても幕府の役人にはなれない。天人との共生を呼び掛けられるような立場になんて尚更なれない。
ならば力で幕府に上がり、手助けをしてやろうと。
そう言い出したのはどちらだったか。