第5章 24~
「そこまでにしときなせェ。乃芽の知り合いじゃなかったらたたっ斬ってやすぜ」
破ったのは沖田だった。要をここまで連れて来たのが自分なだけに、射殺しそうな目をしている。
「ここがどこなのか忘れたわけじゃねぇはずでさァ」
「お前には関係ない」
「今すぐお庭番辞めさせてやりやしょうか」
「総悟、落ち着け」
「土方さんも刀から手ェ離したらどうです」
「まってよ」
喧嘩を売る沖田に挑発する要。揉め事を起こす天才は仲間を呼ぶものなのだろうか。
要の相変わらずの様子に呆れながらも、乃芽は声を上げる。
「ちょっと、ちゃんと話す。話すから向こうで待ってて要は」
「俺は話する為に来たんじゃねえ」
「黙って。向こうで待ってて。総悟、どこか部屋ある?取り調べ室でもどこでもいい」
「取り調べ室は嫌だ」
「つべこべ言わない。常連のくせに」
「取り調べ室が嫌なら牢獄とかどうですかィ」
「最高」
「冗談」
何だかんだ親しそうでもある仲に、土方は戸惑いを隠せない。
会うなり裏切り者と言われあんな表情をしたのに、乃芽はもう気にしている様子すらなかった。
「おい、会議室なら今空いてるからそこ行け。総悟案内」
「わかりやした。地獄の3丁目はこちらでさァ土方さん」
「誰が行くか」
「要、逝ってらっしゃい」
「おい、字」
「今なら土方さん特製犬の餌お付けしやーす」
言いながら総悟は部屋を出、要も仕方なくそれに従い出て行った。