第5章 24~
深い深い蒼色をした髪も、鮮やかな鮮やかな緑をした目も、何かに反抗するような表情も、人間離れした顔立ちも、何もかもが変わっていなかった。
当たり前だ。最後に会ったのは数日前で、そんな短期間に人が変わるはずがない。
なのに、まるで1年隔てたような。
陽空要。性別男。
彼は、私がお庭番衆を率いていた時の直属の部下だった。
襖の間に仁王立ちした彼に会って、自分でも驚くくらい動揺した。
閉塞。閉息。彼は、何を思っているのだろう。
不安が広がる。これは何に対しての不安だろうか。
見つかってしまった不安?それとも、違う何かが。
「裏切り者」
呆然とする中聴こえる凍った声に、冷水を浴びたような気持ちになった。
震えるのは一瞬だけ。
「お前だけは変わらないと思ってたのに」
じくり。
「お前だけは俺を分かってくれたと思ってたのに」
切れて。
「結局は、皆変わらない。俺から遠ざかる」
どろり。
乃芽は次第に表情を亡くす。面を被ったように目が死んで冷める。
傷口が開いた。
血が滲んだ。
そんな気がして、しただけだった。