第4章 20~
朝食を作っている途中でどちらかが起きるだろうと乃芽は予想していたが、見事に外れた。
誰も起きて来ないのである。
銀時の顔にかぶさっていたジャンプはいつの間にか床に落ち、銀時は狭いソファで器用に寝返りをうっていた。
そのソファの前にあるテーブルが食卓の為必然的に乃芽は銀時の寝顔を見ながら朝食を取るはめになり、やっぱりさっき無理して見なくて良かったと思った。
いや、でも見ていても良かったかもしれない。こんな子供っぽい寝顔なんてそうそう見れない。
あまりに無防備すぎて、こちらが戸惑う程。普段ハッとする程大人びた銀時にはお似合いといえばそうなのかもしれない。
彼らが起きるのを待っていては約束の時間に盛大に遅れる。
二人分の朝食にラップをかけると、乃芽は出掛ける準備をした。
「真選組屯所に行ってきます。朝食作ったので食べてください。神楽ちゃんは、私が帰るまで冷蔵庫を開けないように。
開けたら1ヶ月酢昆布抜き。
乃芽」
そう書き置きを残して、乃芽は家を出た。
家を出て鍵を持っていない事に気付いたが、仕方がない。そのまま歩き出す。
その音に反応したのか、一人気配が消えた事に反応したのか。
銀時は唸りながらうっすらと目を開け、また閉じた。
2008/07/07