第3章 12~19
「銀さん大丈夫ですか?」
起き上がって神楽を怒鳴りつけている銀時に声をかける。
「んあー。へーきへーき」
「頭から血出てますけど」
「いつもいつも」
「フラフラして顔色悪いですけど」
何か言おうと口を開いた銀時は、言葉を発する前にふらりと大きく傾いた。
支えようと乃芽が手を伸ばすと、そのまま前にいるこちらにぽすんと寄りかかってくる。
「…本当に大丈夫なんですか?」
半ば抱きしめるように支えながら乃芽は言うが、返答はない。
掛ける言葉が見つからず黙っていると、神楽の声が響いた。
「銀ちゃんまだ懲りてないアルか!」
「懲りた!懲りたからこっち来んなバカヤロー!」
瞬間がばっと銀時が離れた。え、と思った時にはもう神楽から逃げ出していて、その足取りは案外しっかりしている。
さっきのフラフラは何だったんだろうとぼんやり考えるが、答えは見つからなかった。
新八が普通に神楽をなだめているのを見るとこのスプラッタも日常なのだろうか。お気の毒様である。
新八のなだめでは神楽は大人しくなってくれないだろう。
まだ逃げ回る銀時を追いかける神楽を止めるにはどんなメニューを叫べばいいだろうかと、乃芽は夕飯を考え始めた。
2008/06/03