第3章 12~19
「えっとじゃあ…土方さんに沖田さん、私の機密保持共々宜しくお願いします」
「安心しなせェ。 乃芽は絶対幸せにしてやりまさァ」
がしっと乃芽の手を握る沖田。真剣な表情をしているが本気なのかノリなのか。
返答に戸惑っていると。
「だぁーめ。俺の目が赤いうちは手なんか出させねェよ」
背中から体温。振り返ると銀時がいて、そのまま軽く抱き締められる。
「あれ…乃芽抵抗しないんですねィ」
「え?だってこういうのお城でもあったから」
「………はっ!?」
「マジですかィ。乃芽が男だってのに」
「うん…女である事は知られてないはずなんだけど。あんまりたくさんやられるから男の友情だと思ってた…違うの?」
「……こりゃあマジで目が離せねェな」
土方の呆れたような声が耳に残る。
反対に沖田は妙に笑っていて楽しそう。
その方が都合がいいってもんでさァと言う彼を、乃芽の背後から銀時が無言で睨んだ。
「一応聞いとくけど、仕事ってどんなのやるの?」
「まぁ大方お前が思ってる通りだな。隊士の部屋の掃除に洗濯、料理。あとは書類の整理か。腐ってもお庭番衆だ、屯所の警備にも就けられる」
「何か忙しそう…」
「すぐ慣れる。洗濯なんざ適当にやっときゃいいし飯はそれなりに味が良くて量がありゃいいからな」
「わかった。で、銀さん」
乃芽は正面を向いたまま言った。
「なに」
「男の友情長すぎませんか」
銀時はずっと、乃芽の首回りに緩く腕を回したままだった。 銀時の体温で乃芽の背中は温まり、心地よく体重が乗せられている。
本当に子供みたいだなあ、と思った。
土方と沖田はそう思っていないようだが。
「旦那ァ。いい加減離れなせェ」
「友情友情」
「昨日の今日だろうが」
「まあまあ」
別に嫌悪は感じないので大人しくしていると、それが銀時を調子に乗せるんだと土方に怒られた。
2008/05/29