第2章 08~11
「じゃ、行きましょうか乃芽さん」
「え…行くって」
「仕事探しにですよ」
「…いいの?一緒に行ってくれるの?」
「いいですよ。今日は仕事もないですし、僕も一緒に行きます」
「ありがとう! …あ、でも神楽ちゃんは…」
「さっき遊びに出掛けました。心配いりません」
「そう」
新八はにっこり笑って玄関に向かった。
乃芽は相手にされない事にいじけて床に「の」の字を書いている銀時を見る。
「坂田…さん」
「ったくあいつら誰が毎度毎度苦労してると思ってんだよ…ここはいっぺんバシッと言ってやらなきゃ駄目かもな。ガキは甘やかすとすぐ調子に乗りやがる。新八には焼けた卵食わして…神楽は酢昆布を…」
うわァ大人気ないよこの人。
苦笑に似た笑みを浮かべながら、乃芽は銀時の横にしゃがみ込む。
「坂田さんっ」
「あぁ?」
「坂田さんは行きますか?」
「行くってどこに」
「話聞いてなかったんですか?私のもう一つの仕事を探しにです」
「あー…」
銀時は、乃芽から視線を外して頭をがしがしと掻く。
「そーだなぁ…新八だけじゃ心許ねーもんな」
よっこらせ、と立ち上がる。乃芽も続いて立ち上がった。
歩き出そうとする銀時。呼び止める。