第2章 08~11
「それで乃芽さん、この後はどうしますか?」
皿洗いをしていると新八に聞かれる。
唯一、見返り無しで手伝ってくれる常識人だ。
「そうだなぁ…ここの収入だけじゃ不安だから、もう一つ仕事でも見つけたいな。いつも依頼が来るわけでもないんでしょう?」
「ええ、まぁ…。でもそれだと大変じゃないですか?仕事被った時とか」
「その時は万事屋の仕事を優先させるよ。何か融通の効く仕事があればいいけど…」
「んーな自ら苦境に立つような事しなくてもいいんじゃねェの」
厠から戻った坂田銀時さん。
手、濡れてないけどちゃんと洗いましたか。
「ウチが儲かってねーって言ってるようなもんだぞ」
「そんな意味じゃ…だってその方が収入安定するし、修理費も早く返せるし…」
「面倒な事するねェアンタも。さてはMか。Mだろ」
「違うわパー!」
「オイッ!パーはねーだろパーは!せめて天パって言え!」
「まあまあ二人とも。でも乃芽さんの言ってる事もわかりますよ。事実、ここ儲かってませんし」
「えっ!そうなのっ!?」
「バカおめッ新八!余計な口挟むんじゃありません!」
「そこのバカって言った3倍バカがパチンコに費やすんですよね。報酬が結局貰えなくてタダ働きも多いですし。だから僕も神楽ちゃんもまともな給料はほとんど貰ってません」
「……うわァ…」
ドン引き。銀時から離れる。
性格や見た目はだらけているもののまさかそこまではないだろうと思っていたが、予想以上だ。
ブリザードの視線を向ける乃芽に、銀時は慌てて弁解する。
「ちょっ待てって!俺だってまともな金手にした事なんてねーぞ!」
「毎週ジャンプ買うお金はあるみたいですけどね」
「それはアレだよお前。買わないと俺の少年の心が死んじまうからだよ」
「んなダメみたいな少年時代さっさと捨ててください。目も死んでるんですからそれで釣り合い取れますよ」
ぴしゃりと言う新八。年上の銀時にこれでもかというくらい張り合っている。
何か言い返そうとした銀時はさりげに傷付いた様子で表情を固めた。しかも新八はその様子に構いもしない。
こうも言い合いができるなんてやはり仲がいいのだろうと乃芽は思う。
少し羨ましかった。
2008/04/19