第2章 虎への紹介
甲斐の国___________
「お館さぶあぁぁああああっ」
「幸むるあぁぁぁぁああああっ」
今日も、甲斐の虎こと武田信玄と家臣である真田幸村は、第三者から見れば暑苦し過ぎる叫び合いを繰り返していた。
そして、2人の赤い衣装もまた、ギラギラと照りつける太陽の暑さを視覚的に倍増させていた。
「はあ……。旦那、御館様、そろそろやめにしない?俺様、見てるだけなのに暑くて死にそう」
幸村の部下である忍の猿飛佐助は、先程から繰り広げられる光景に嫌気がさしはじめていた。
そんな佐助の言葉は、2人の雄叫びに掻き消されてしまう。
そして佐助は諦めたように、その場から姿を消した。