第11章 エチケット袋は必須ですから
ガクリと落ち込む私の頭をいちが撫でる。
「タキにはタキにしか出来ない事があるでしょ…」
『むぅ~…だって仕事ないと暇なんだもん、こうやって元に戻ってマメと散歩モドキで過ごすしかないのよね」
ボフンッ、元に戻るといちの膝の上でモゾモゾ動いてるマメをくわえて芝生におろす、少し離れると私に向かってヨチヨチ歩くマメを待つ、私の元にたどり着くとコロンとひっくり返る。
まだちっちゃいからすぐ疲れちゃうみたいね。
口にくわえてテラスに戻るといちの膝にマメをのせる。
ボフンッ!!
『ほらね?ちっちゃいからすぐに疲れてまだちゃんとしたお散歩にならないのよね』
さてと…そろそろ服着なきゃね…椅子の上の服を手早く着る。
「ん…?もう行っちゃうの?」
『うん!たぶんカラ達も戻ってくる頃だろうから私、部屋に帰るね』
私はいちからマメを受けとるとシロといちコンビに挨拶をしてテラスを去る。
廊下を歩いていると前からチョロコンビが歩いてくる…。
あぁもう…今日は厄日かしら…?
チョロ相手に素通りは出来ない、ここはUターンね…何処かに隠れてやり過ごさなきゃ…。
「あっ!!タキちゃーんっ!!」
うぁ…さっそく見付かってるしっ!!なんか呼ばれてるけど聞こえないフリしとこ…踵を返し歩きだす、たぶんそんな事しても無駄だろうけどね…はぁ…。
「ちょっと待ってよ、タキちゃん!」
ガシッと肩を掴まれた、チッ…捕まったか…。
『あら、さっきぶりねチョロコンビ』
「何してるの?」
『見てわからない?マメと散歩よ、じゃあね』
「そうなんだ、それならたまには僕達の部屋に来ない?」
『拷問部屋に?悪いけど私今忙しい、じゃあね』
「拷問部屋じゃあないからねっ!!ふーん…そっか…せっかくあの有名店の新作クッキー用意してるのに、このままじゃあクッキーの賞味期限が切れちゃうんだよね…棄てるしかないのかなぁ…はぁ…」
何っっ!!新作のクッキーですってっ!?まてまて…もうその手にはのらないわよ…。
『じゃあ部屋に持って帰って食べるから頂戴、どうせ棄てちゃうなら頂戴!』
「はぁ~あ~…もったいないよねー、新作クッキーに物凄く合う新作ブレンドの紅茶だって用意してあるのにな…残念だね、行こうチョロ松くん、じゃあねタキちゃん」