第1章 始まりの風
~昼休み・屋上~
「…で?何でこんなに人いるの?」
あたしの目の前に、男子達がいる。
忍「この子が新しいマネージャーか。」
鳳「す、凄く綺麗な先輩ですね///」
俺様はこっちを見てニヤついている。
気持ち悪っ。綺麗な顔が台無しだよ、おい。
跡「ここにいる奴等がテニス部レギュラーだ。
おまえが担当する、な。」
あたしが睨んでいるうちに、自己紹介が始まる。
全く頭に入ってこない。覚えるつもりはない。
仲良しこよしが好きなのね…。
穴「まあ、よろしくな。越前。」
向「あのチビの姉さんだったんだな~。」
「っ!あたしの前で弟のことを言うな!!」
あたしは叫んでいた。
リョーマはあたしにとって、目障りなものだ。
跡「おまえ、そんなに弟が嫌いか?」
「えぇ、もちろん。大嫌いですけど?」
日「仲悪いんですか?」
違うわ、と言って首を振った。
あたしが嫌いなだけ。
あの明るさも、強さも、輝きも…。
忍「嫌いやったら、都合えぇな。」
向「なあ、俺達さ!青学倒そうとしてんの!」
鳳「一緒にやりましょう!越前くん倒し!」
何?この人達…。何であたしに構う?
一緒にって、どういうこと?
跡「つまり、おまえが必要だってことだよ。
ユーリ。」
「あたしが、必要?あ、たし、が?」
必要?必要って…どんな意味だっけ?
あたし、必要って誰かに言われたことなかった。
リョーマが憎い。そんなあたしでいいの?
「……ぅ。」
向「ちょっ!誰だよ、泣かせたの!!」
忍「深い事情があったんやな、泣くなんて。」
あたしが、泣いてる?どうして…?
まだ完全には遠すぎる。だけど。
あたしの心が、日だまりに包まれた。
「あ、あたしでいいの?
だってあたし、あたし…!!」
全「ユーリが/先輩が、必要なんだ!/です!」
ちょっとずつ、あたしの8年の氷が溶けていく。
まだ、ほんの少しだけど。
あったかい始まりの風が吹いていた。