第1章 始まりの風
跡「おまえ、越前の親戚か?」
無感情な瞳が俺を捉える。背筋が凍りそうだ。
越前、という名前に反応して振り向く。
相変わらず無感情だが…。
「あなたの知ってる越前は、リョーマ?」
跡「あぁ。そうなのか?」
「えぇ、私の……弟よ。」
弟、か。あいつ、姉がいたんだな。
なんで弟と言う前をためたんだ?
ますます瞳が冷たくなる。
「けど、私の前でその名前を出さないで。」
跡「アーン?」
嫌ってんのか、あいつのこと。
それ以外は話さず黙って窓の外を見ている。
ほんっと、変な女だな…こいつ。
跡「…おまえ、テニス部に興味あるか?」
「ありません。あなたがいるなら尚更。」
言うじゃねぇか。気に入った。
そこら辺の女よりいい度胸だな…。
跡「マネージャーになれ。」
「は?聞こえなかったの?嫌よ。
テニスは辞めたの、あたし。」
辞めたってことは、経験はアリか。
無理にでも入れさせてやる…。
跡「強制だ。俺様から逃げられると思うな。
昼休みに屋上にこい。」
面倒くさそうな顔してやがる。
はん!ますます気に入ったぜ、越前ユーリ!