第5章 勉強会♪
ほわほわと、湯気がたっている。
みんなが入った後だっていうのに、あったかい。
リョーマは、目のやり場に困っていた。
「なんで今更…。姉弟でしょう。」
越「…姉さん、わかってない…。」
何がわかってないのか、わからない。
昔より筋肉がついてたくましくなった体。
生意気な目はいつまでも変わらない。
越「跡部さん達と、仲いいんだね。」
「…あいつらは別なの。…大切な仲間。」
越「っ。…姉さん、やっぱ変わったね。」
変わった……?
確かに、少しだけ柔らかくなったかも。
あぁ…。あたしは、そうか。
「変えられたのかな。景吾達に…。」
思い出すと、笑えてくる。
あたしの為にたくさんの事をしてくれた。
だから…こんなに、優しく笑える。
越「姉さんは…俺の事、嫌いなの?」
「嫌いよ、世界で一番。…でも。」
リョーマの体を引き寄せる。
前は、触れる事すら嫌だったのに。
…リョーマの体温を感じる。
「あんたは、やっぱあたしの弟だわ。」
越「姉さん……。」
黒い感情がふつふつと溢れてくる。
今はもう、闇に呑まれたりしない…。
みんながいるから。
越「胸…当たってる…。」
リョーマの変態。今言わなくてもいいでしょ。
はぁ、嫌いだけど。憎いけど。
あんたが居たから、景吾達に会えたから。
「……お別れも近いしねぇ。」
越「お別れ…?」
リョーマにはまだ言えない。
あんたがもっと…大人になったら。
あたしの秘密を、全部話してあげる。
少し先のお別れを、悲しまないように。
出来るだけの思い出をつくろう。
……みんなで。