第1章 始まりの風
夕飯の食卓で、盛り上がる家族。
あたしの隣は母さんで、前がリョーマ。
父さんはあたしにやたらとかまってくる。
おじさんになったな、父さんも。
南「そうか、ユーリも中3か。」
「父さん、老けたね。しゃべり方も。」
昔はサムライ南次郎って言われてたらしい。
だからあたしもリョーマもテニス始めたのよね。
あぁ、なんか面倒くさいことしてくれたな。
越「姉さん、全然食べてないじゃん。」
母「あら本当ね。食欲ないのかしら?」
あたしに構わないでくださいって。
なんか気分悪くなってきた…。
ショウのご飯じゃないからかな。
「あたし気分悪いから寝る。」
母「あ、ユーリ?!」
嫌だ、こんな生活が続くのか?
誰かとご飯食べて誰かと話して…。
ムリだ、あたしには出来ない。
「おえっ。…帰りたい。」
あたしの部屋のベッドに倒れこむ。
8年もあたしは一人だったから…。
リョーマなんて嫌いだ。
なんで姉弟なのに、境遇が違うのよ。
愛されて育ったリョーマと、あたしは…。
「助けてよ、ショウ…。」
あたしの傷は絶対に消えない。
明日から、学校。吐かないかな、あたし。
笑顔なんて、簡単に作れるけど。
本当の笑顔はあの人にしか見せてない。