第3章 笑顔のわけ
忍足が、急にあたしの頭をくしゃっとした。
まるで子供扱いじゃないの。
忍「ユーリがいつも無理してたからやで。」
樺「・・・・・無理、してました。」
あたしが無理して笑ってたのに気づいてたんだ。
確かにあたしはみんなに救われた。
だけど、堅く閉ざした心はそのままで。
日「なんか変に壁作ってましたし。」
向「けっこうこっちも寂しいんだぜ?」
向日がちょっとだけシュンとした。
壁か・・・。あたしとみんなの、壁。
鳳「先輩の過去は分からないけど・・・。」
「鳳・・・。ごめんなさい。」
やっぱりあたしは、誰かに迷惑かけるよ。
あたしが関わった人達に・・・。
いつから?いつから、あたしは・・・。
滝「みんな心配してたんだよ?ずっと。
ユーリが楽しめるために、ここに来て。」
なんでいつも、優しい人が傷つくの?
こんなにもあたしを心配してくれる人が。
でも・・・傷つけるのはいつもあたし。
偽善なんかじゃなくて、本当の優しさ。
「あたしは・・・。」
何て言えばいいのだろう?
もう何も失いたくないのに。誰も失いたくないの。
あたしは、わがままだ。
跡「おまえは、テニス部にいたいか?」
「え?」
跡「テニス部にいたいかって聞いてんだよ。」
いたくないわけじゃない。ただ、怖いよ。
またみんなに心配かけるって思うから。
あたしはみんなのそばに、いていいのかな。
こんなに汚いあたしが・・・。
「いいのかな・・・、あたしがいて・・・。」
そう言うと、手をぐっと掴まれた。
跡部がジッと見つめてくる。
跡「言っただろ?おまえが必要だって。」
「うまく笑えないんだよ?
優しくもないし、おまけに卑怯だ・・・。」
穴「・・・だから何なんだよ。」
穴戸の言葉に、はっと顔を上げる。
こんなあたしなんて、必要にされる価値もない。
そう思っていたのに。
穴「それがおまえなんだろ?
それだけで嫌いになれると思ってんのか?」
芥「ユーリはユーリだC~。」
あたしはあたし・・・?
みんな、あたしに幻滅したりしないの?
みんな、あたしに微笑んでいた。