第2章 帰って来た彼と恋人
学校へ急ぎ走っているの横を数人の男子達が笑いながら通りすぎて行ったのだ、最後尾の男の子に荷物を押し付けて
『何あれ・・』
明らかなる嫌がらせを見過ごすわけにもいかず、引き返し男子達に詰め寄ったは肩を叩くと、同年代であろう男子3人が振り返る
『貴方達なんのつもりなの、一人に荷物を押し付けて、恥ずかしくないの?』
『・・誰だよお前、小早川の知り合いかよ?』
『小早川?』
『あ、あの・・僕は別に』
『ほら、本人がこう言ってんだろ、関係ない人間が口を出すなよ』
後ろからヨロヨロと歩いて来た小早川と呼ばれた少年が笑いながら話す姿に、男子達は再び足を進めようとするが、は目尻に力を込め声を張った
『見過ごせるわなけないでしょ!明らかないじめじゃない!』
『・・ッ』
『お前・・女だからってでしゃばった真似して、痛い目見たいのか?』
『脅しても無駄よ、いじめなんてやめなさいよ!』
『またやっているのか、お前は』
今にも男がに手をかけそうな緊迫した雰囲気に、荷物を抱えた少年が狼狽えていた後ろから、筧が溜め息を混じりに歩み寄ると、男はその体格差に物怖じしたのを見て、筧は口元を緩ませた
『お前ら、この二人に何か言いたいのなら俺が相手になるが?』
『い、いや遠慮しておきます!し、失礼します!!』
バタバタと少年から自分の荷物を奪い取り逃げていく3人を見て、は二度としないでよ!と声を張り上げ、筧はまた溜め息をついていた
『ったくお前な、無鉄砲も大概にしとけ、一応女だろ?怪我でもしたらどうするつもりだ』
『だ、だってあんなの見て見ぬふりなんて出来ないよ!』
『気持ちは分からなくもないが、余り無茶はするな。』
『・・ごめんなさい、迷惑かけて』
猪突猛進なこの性格はどうも変えようがなく、筧に迷惑をかけた事を申し訳ないと思いつつも、やはりいじめを見過ごすという選択肢は取れそうにないの性格に、筧もまた心配になりつつほっとく事は出来ないのであった。
『あ、あの~』
『ああ、ごめんなさい話し込んでしまって、確か・・小早川君?』
『はい、今日は何だかすみませんでした。』
『いえいえ、結局私一人では何も出来なかったから、中学生だよね?』