第2章 帰って来た彼と恋人
いったいこの2年で筧に何があったのだろう、見た目もだけれど、内面が大きく大人に成長しているように見える、が一人ぼんやりと考えながら歩いていると、足元に落ちていたビニール袋に気が付かずに足を取られ前のめりに転びかけた体は筧の腕により支えられ倒れずにすんだ
『あっ、ありがとう』
『お前な、考え事をしながら歩くな、怪我をするぞ?』
『うん、気を付けるよ。でも本当に大きくなったね?180はこえてる?』
『お前の彼氏もデカいだろ、細身ではあるが』
『うん、身長高いんだよね健君、キスする時なんて身長差あるから大変・・あっ!』
『ほぉ、キスをする仲なのか・・付き合っているのなら当然だろうが、意外だな』
『意外?』
『お前はまだまだガキだと思っていたからな』
『がっ、ガキって筧と同じ年じゃない!』
『精神年齢がまだ子供だろ』
『そんな事ないです!私はもう子供じゃないんだから』
『なら、もうあいつと寝たのか?』
『!?』
ストレートな物言いに息を飲み足を止めたの反応で、口元をつり上げた筧は振り返った
『その反応は、まだなようだな』
『・・ッ筧に関係ないじゃない!バカ!』
『あっおい!』
怒鳴り付け筧を追い越すと走り去って行くに、筧は一人息を吐くと頭を掻いていた
『まだ、望みはありそうだな』
筧にとってはただの幼馴染みではなかった、ずっと幼い頃から密かに胸に秘め続けた想いはアメリカへ渡ってからも風化するどころか募るばかりであった。
だから帰国した足で学校への手続きを口実に、時差ボケで気だるい体にムチを打ち向かった先でと再会出来た事に、正直舞い上がる気持ちを押さえる事に必死で、男を探しているという事実を深く考える事が出来ずにいたが、の必死な姿と会いに行くよう説得をした水町の真剣な瞳を見ていたら、嫌でも二人の絆の強さが伝わって来た。
2年は、長すぎた
そう後悔する自分自身の愚かさに溜め息が漏れる
(だが・・、引く気はない)
胸の内での呟きに不思議と笑みが浮かぶのは、の側に帰ってこれた喜びと、と水町の絆が、自分よりも強いとは限らないと言う、自信からだろう。