第2章 帰って来た彼と恋人
金髪のサラサラした髪が地面につく勢いで頭を下げ謝る水町に慌てて駆け寄ると、は肩に触れ顔を上げてもらうようポンポンと叩くと、ゆっくりと顔を上げた水町は今にも泣きそうな表情をしていて、思わず頬を撫でていた
『幻滅なんて、するはずがないよ?だって健君が大切だから、健君が傷付くのが一番怖いの、お願いだからもう自分を攻めたりしないで、私はずっと健君の一番のファンだよ。また健君が夢中になれる事を見付けよう。』
『・・ッ』
水町はを抱き締め泣いていた。
自分のいきすぎた頑張りがチームに負担をかけたのか、考えたところで時間を戻すことは出来ない、でもが側にいてくれるなら、また頑張れる・・
水町にとってもにとっても、互いに必要で大切な存在だから
『・・なぁ、俺さ今迄ずっと自分だけが頑張れば何とかなるって思ってたのかな~』
『そんな事ないと思うよ?だって健君は団体でも一番になりたいって頑張ってたじゃない、私は健君のそんなところも大好きだよ。』
『~』
『わっ、ちょっとくすぐったいよ』
まるで大きなワンコのようにグリグリと頭を擦り付け甘えてくる水町は可愛いのだけど、くすぐったさに身をよじっていると、ジーッと何処からか視線を感じ顔を上げたは、不気味な笑みを浮かべながら黒い手帳を広げた悪魔と目が合い
『きゃあ!』
『うわっ!?』
急に突き飛ばされた水町はバランスを崩し後ろ向きに倒れた先のベンチに座る、全身黒ずくめの金髪悪魔なお兄さんが立ち上がる姿に、は肩をはねらせ身構えるが、男は何かを言うでもなく口元に笑みを浮かべたまま去っていった。
『何も突き飛ばす事ないだろ?』
『ごめんね!今、凄い怖そうな男の人に見られていて怖くなっちゃって』
『はぁ?どこ、どこにいんの?』
『もう行っちゃったよ』
『そっか、でもそんなビビんなよ、何かあってもの事は絶対に守るから』
『健君・・ありがとう』
『おう、任せとけ!』
『・・ぷっ、もう調子良いんだから』
『そうかぁ?』
一日ぶりなだけなのに、凄く懐かしく感じるこのほのぼのなやり取りに顔の頬が緩んでしまう。
だけど、心が晴れないのはきっと筧が帰って来たからだと思う。