第19章 近くて遠い恋《6》
「こんなとこで何してんの…」
言いながら私の横まで来て、その場に座った。
「…月、見てた」
「月?」
「うん。ただただ綺麗だな。と思って見てた」
「ふぅん…」
家康は興味なさそうに返事をして、月を見上げた。
「っ!」
月明かりに照らされた家康の横顔は、とても綺麗だった
満月を見て綺麗と思ったのとは、また違う感じがして見惚れてしまった
「まぁ、綺麗かもね…」
家康の声にはっとして、思わず顔を背けた。
「家康は、何でここに来たの?」
「あぁ。陽菜捜してた。」
「え?」
その言葉に家康の方を向く
「これ、陽菜の?」
家康が懐から出したのは
私が信長様からご褒美で頂いた金米糖入の小瓶だった