第19章 近くて遠い恋《6》
「(でも、挨拶もろくにしてないから、せめて煩くしたことは謝ろう!)」
軽く拳を作り、ギュッと力を入れ、勇気をだして声をかける
「いえ、」
「家康様」
失敗した
「なに?」
家康の家臣の方が、挨拶とお酌をしに来た。
待とうかと思ったけど、もう食事も終えたし、話を聞いているのもなんだか失礼な感じもする。
それに、病み上がりだからか、少し疲れてきてしまったから、もう部屋に戻ろう。
そっと傍を離れ、そのことを伝えにお姉ちゃんの方に向かった。
「陽菜、どうしたの?」
「少し疲れてきたから、もう部屋に戻るね。」
「大丈夫か?部屋まで送ろう」
「秀吉さん、いいよ!すぐだし!お姉ちゃんとごゆっくり!」
そういうとお姉ちゃんは顔を赤くし、
秀吉さんには「揶揄うな」
と笑って頭をワシャワシャ撫でられた
信長様にも挨拶をして
私は広間を出た