第18章 近くて遠い恋《5》家康side
「おぅ。陽菜!こっち来い!」
俺の左隣に座る政宗さんが
信長様の元から離れた陽菜に声をかけると、陽菜はこちらにやって来て、膳を挟んで政宗さんの前に座った。
「ずいぶん、信長様に可愛がってもらっていたな」
政宗さんの隣に座る光秀さんが、ニヤニヤと笑っている
「見てたなら助けてくださいよ……」
頬を少し膨らませ、口を尖らせる陽菜
「なぜ、助けなければならない。大抵の女なら信長様にあんなことされたら、泣いて喜ぶぞ」
「…私はその大抵の女に含まれないので…」
「そうか。お前は変わり者の小娘か」
「小娘!?」
「あぁ。普段の行動からして、小娘だろう。
まぁ、今は髪を結い上げてるから小娘には見えんがな。そうだな…娘に昇格だ。」
「……………」
「そうかぁ、なかなか色っぽい女になったじゃねぇか。信長様の戯れで首まで真っ赤にして、色っぽかったぞ。なぁ、家康」
「…………さぁ…」
確かに、色っぽくて目を奪われたけど……
同意を求めないでほしい
いつも髪を下ろしてるし、戦場でも邪魔にならないようにと、下のほうで髪をひと纏めにしてたが…
今は纏め上げて、白くて細い首が曝されて…
真っ赤になった首を、他の男達が見てたのは、気にくわなかった。
「……光秀さんも政宗も、私で遊ばないでください!」
陽菜は怒ってプイッと顔を背けた