第17章 近くて遠い恋《4》
《信長side》
「(やっと睨むのを止めたか……)」
陽菜を呼んでから下がるまでの間、ずっと家康が信長を睨んでいるのに感ずいていた
「(金米糖を唇に当てて離すまでの間には、軽く殺気まで放っていたな)」
今は普段通りの顔で、陽菜のことを見ている。
それでも、少しは熱が籠った瞳になっているが
「(家康のことは小さい頃から知っているが、あのような顔もするのだな…)」
信長は面白そうに口元に弧を描いていた
それにしても
陽菜の悩みの種は彼奴か…。
広間に入り家康を見た瞬間に、陽菜は泣きそうな顔になり俯いたが、すぐに顔を上げ、何もなかったかのようにしていた。
何に悩んでおるのか知らんが、おそらくは家康に何か言われたってところだろうな。
しかし、家康が広間に入ったときは普通だったが…
あの捻くれ者が、どうせ素っ気ない言い方をして
それに陽菜が思いの外、傷ついたのだろう。
「ふん。若いな」
呆れるでもなく、愉快そうにポツリと言い
酒を飲んだ