第16章 近くて遠い恋《3》
《姉side》
針仕事も終わり陽菜の部屋に行く途中、家康さんと会ったので陽菜の様子を聞く。
「あれだけ元気にしてたら大丈夫でしょ…」
「そうですか!ありがとうございます!」
「別に……じゃあ……」
素っ気なく言うと家康さんはスタスタ歩いて行った。
「……なんで家康さんってあんな素っ気ないんだろ?」
秀吉さんみたいに優しく笑えばいいのに……
「//!何考えてんのよ…」
秀吉の笑顔を思い浮かべたが、頭を軽く振って、笑顔を一旦追払い、陽菜の部屋へ急いだ。
「陽菜、入るよ」
「…………………」
あれ?返事がない?
襖を開けると
ただただボーっとして涙を流してる陽菜
「陽菜!?どうしたの!?」
「え?」
「なんで泣いてるの?」
陽菜はそっと目元を触り、涙が出てることに気づき、目にゴミが入っていたと明らかな嘘をつき、目元をゴシゴシ擦る
「…陽菜…大丈夫?家康さんに何か言われた?」
この部屋に戻るまでに家康さんとしか会ってないから、咄嗟に家康さんの名前を言ったけど、
ほんの一瞬だけ、陽菜は反応した。
「(やっぱり何か言われたんだ…でも、家康さん普段と変わらない感じだったけど…)」
素っ気ない姿しか知らないから、素っ気ないの度合でしか香菜は判断するしかなかった
陽菜は首を横に振り、無理しなければ宴に出ていいと家康さんに言われたことを話してくれた。
「そう……じゃあ陽菜着替えて!ついでに髪の毛もちょっと弄ろう♪」
別にいいよ。と陽菜は断ってきたけど、気分転換になるし。と言ったら、わかった。と頷いた。
もしかしたら、陽菜は家康さんのことが気になってるのかもしれない…
勉強を教わるようになってから、家康さんに会った日はすごく嬉しそうにしてたから…
何かあったのかわからないけど、言いたくなさそうだし、聞かない方が陽菜にとってはいいのかもしれない……