第15章 近くて遠い恋《2》家康side
その時、パタパタと廊下から足音が聞こえ、そっと手を離す
「陽菜、政宗がお粥作ってくれたけど食べれそう?」
香菜が湯気が立ってるお粥の膳を持ってきた。
「あ、家康さん。陽菜の具合どうですか?」
「疲れが出てるだけだから、ゆっくり休めばすぐ良くなると思うけど…」
「そうですか。ありがとうございます」
「…別に…じゃあ陽菜、また様子見に来るから」
「うん…ありがとう…」
陽菜の部屋を後にした。
その後、戦で留守にしていた分の仕事をこなしていたが、なかなかキリがつかず、その日は陽菜の様子を見れず翌朝見に行った。
が、部屋から香菜が出てきて陽菜が寝ていると言われ、仕事もあるから昼すぎにもう一度見に行くことにした。
仕事のキリがつき、負傷者達の様子を見て、その足で陽菜の部屋に向かっていると政宗さんに会った。
「おぅ。家康。陽菜が元気になったから許可しろよ」
「は?許可?」
「じゃあ、俺は仕込みがあるからな」
と俺の肩をポンと叩いて政宗さんは厨に向かって行った。
訳もわからず陽菜の部屋に行き、声をかけたが返事がない。
寝てるなら、また後で来よう。と引き返そうとしたら
「あ、家康さん」