第15章 近くて遠い恋《2》家康side
「秀吉さん?」
「家康!ここに居たか。陽菜が熱を出したみたいだ。診てやってくれないか?」
「え?熱?」
「あぁ。城に戻って気が抜けたらしく、かなり熱があるみたいだ。相当、気が張っていたんだろう。」
「わかりました。一旦、部屋に戻って薬の用意してから行きます。」
「悪いな。今は香菜が部屋についてるから」
「はい」
急いで部屋に戻り、何種類か薬を持って陽菜の部屋に行った。
「陽菜、入るよ」
―――スー…
部屋に入ると香菜は居らず、褥に入り休んでいる陽菜がこちらを見た
「…あ、いえ、やす…」
「!!」
熱で赤くなった顔
潤んだ瞳
苦しいのか呼吸も若干早い
好いた女のこんな姿を見て、動揺しない男はいるんだろうか………
「(…平常心…平常心……)」
己に言い聞かす
「ちょっと熱測るよ」
陽菜の額に手をあてる
「…高いな…他にしんどいところはある?」
「…体が怠いぐらい……」
「疲れが一気に出たんでしょ。一応解熱剤出しとくから、それ飲んでゆっくり休んでな」
「…うん…家康の手、気持ちいぃ…」
「!?」
いや、手が冷たいってことだ!
弱々しい笑顔で、ほんとに気持ちよさそうに言うから、違うことと勘違いしそうになる…
「(落ち着け…俺…)」