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イケメン戦国『あなたに夢中』

第106章 恋した記憶、愛した事実《27》


鬼原たちが連れて行かれると、家康はすぐに部屋を出て、陽菜の部屋へと向かうために廊下を走り出す。

家康の一足後に部屋を出た信長たちは、家康の走っている後ろ姿を静かに見届け、家康の姿が見えなくなると、ポツリと光秀が口を開いた。


「………先ほどの家康の言葉…陽菜を思い出したのでしょうか…」



――

『お前の汚い欲求のためだけに、俺の大事な娘に触れるな。』


――


「………さあな。だが、あの二人に何かしらのことがあったのは事実だろうな。一月前の宴の後から、陽菜の呆ける姿をよく見る。」

「そういえば今日も、心ここに在らずな状態で中庭を掃除していました。まぁ、竹箒を持っていただけなので、掃除とは言えませんが。」

「陽菜だけじゃなく、家康も少し変わったな。最近の家康は、よく陽菜のこと目で追ってるぜ。宴前の家康じゃ、考えられねー行動だな。」

「ということは、陽菜に対する気持ちについては、自覚したのかもしれんな。記憶が戻っていなくとも、陽菜に対しては、本能的に動いているところがあるようだしな。」

「自覚したのであれば、記憶が戻るのも、もしかしたら早いかもしれませんね…まだ油断は出来ませんが…」

「……そうだな。家康の記憶もだが、陽菜のことも心配だな。……あいつ、壊れなきゃいいが……」

「「……………」」


政宗の言葉に、信長と光秀も不安げな表情で、陽菜の部屋の方向へ顔を向ける。


「……ひとまず、今の陽菜のことは家康に任せるしかない。俺らでは、陽菜を癒すことは出来んからな。光秀、政宗。天主で鬼原の治めていた領地のこれからのことについて話すぞ。」

「「承知しました。」」


信長が羽織を翻して、天主へ足を進めるのを、政宗と光秀がその後に続いていった。

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