第106章 恋した記憶、愛した事実《27》
ダンっっ!!!!!!!
「ぐぁっ!!?」
すぐに動き、鬼原の胸倉を掴み、勢いよく床へ押し投げ、鬼原を陽菜の身体から離したのは…………
「お前………何をしている…」
「(………いえ、や……す……)」
信長以上に殺気を纏い、冷酷な表情をしている家康だった。
涙で視界がぼやけて、家康の表情はあまり見えないが、陽菜の耳に一番愛しい人の声が確実に聞こえた。
「お前らっ!!どきやがれ!!!」
「「「ひぃっっっ!!!!?」」」
家康が動いたあとに政宗が、陽菜の身体に群がる従者たちの一人を掴みあげて床に叩きつけ、まだ群がる従者たちを政宗が睨みつけ、従者たちを陽菜の身体から離れさせる。
「陽菜!!大丈夫かっ!?」
「陽菜様っ!!!」
そして、陽菜の身体から従者たちが離れると、すぐに秀吉と三成が駆け寄り、三成が着ていた羽織を急いで脱いで陽菜の身体に掛け、秀吉が陽菜の身体を起こす。
「……ひで、よし…さ……みつ、なり…く…」
「もう大丈夫だ…」
秀吉が陽菜を安心させるように、落ち着いた声で声をかける。
秀吉の顔をみた瞬間に………
「……っ…あ、あっ……ぅ…っ……うわあぁぁぁぁぁ!!!!!!」
助かった安堵……
襲われている恐怖……
愛しい人にこんな姿を見られた絶望……
いろんな感情がごちゃ混ぜになった陽菜。
安心を求め秀吉に抱きつき、陽菜の瞳から止めどなく涙が溢れてこぼれ落ちていき、秀吉の着物と三成の羽織を濡らしていく。