第106章 恋した記憶、愛した事実《27》
「九兵衛……どうだ?」
「はい。遅くなりましたが、鬼原殿の不正の証拠を探してまいりました。こちらです。」
そう言って、九兵衛は懐から出した書状を光秀に手渡し、光秀は受け取った書状の内容に急いで目を通す。
「不正って……さっき広間で報告があった、領民から莫大な米を搾取してるってやつか?」
「……あぁ。どうやら証拠は揃ったようだ。九兵衛、囚われていた町娘たちは?」
「はい。そちらも無事に手筈は整えております。」
「町娘たちって一体……光秀!わかるように話せ!」
「秀吉、悪いが話は向かいながらだ。信長様……」
「あぁ…鬼原の部屋へ行くぞ。」
秀吉の説明を求める声を、光秀が眉をひそめて制し、信長が羽織を翻して、鬼原の部屋へと早足で歩き出す。
信長に続いて光秀も歩きだし、残りの武将も続くように歩きだした。
「おいっ!光秀!証拠やら町娘たちって…どういうことだ!!」
「さっき広間で報告した、鬼原が不正に米を搾取している証拠だ。俺がここ最近、安土を不在にしていたのも、その証拠を探るためだ。だが、なかなか証拠を見つけれなかったんで、俺は一度信長様に報告するために安土に戻り、九兵衛に証拠探しを任せた。」
「……なるほど。それでお前の部下が不正の証拠を見つけたってわけか…。それで?もうひとつの、町娘たちってのはどういうことだ?」
秀吉の説明を求める声に、光秀は今度は制することなく答える。
そして話を聞いていた政宗が、もうひとつの説明を求めた。