第106章 恋した記憶、愛した事実《27》
……………キ…シ………キ…シ……
――――………で…………すな……
――――……………し……た……
「(…………………ん……)」
何かの音、誰かの話し声が聞こえ、陽菜の意識は少し浮上する。
「(…………だ……れ…?)」
誰の声なのか確認しようと、なんとか起きようとするが、嗅がされた薬がキツく、目を開けることは出来ず、頭も冴えず、体にも力は入らない……
「(……あ………ダ……メ…)」
自分の意思とは反対に、陽菜の意識は朦朧としだし………
「(……………い…え……や……)」
愛しい人の名前を、心の中で言いきる前に、陽菜の意識は、またもや完全に遠退いた…………