第105章 恋した記憶、愛した事実《26》家康side
この二月の間に彼女と過ごした日々を思いだし、彼女の存在は俺の中で大きくなっていて、愛しい存在だ。
「(……早く…見つけないとっ……鬼原なんかに…っ!!)」
その先に続く言葉が起こるようなことが、頭を過り、怒りが沸々と沸き上がる。
俺は降ろしていた手を、グッと力を入れて握りしめ、怒りで自分を見失わないようにした。
「報告の内容は以上だ。この情報源は、今は一旦置いておく。今は陽菜を探し出すのが先決だ。家康、鬼原の部屋へ急ぐぞ」
「……はい…」
光秀さんとともに歩きだし、急いで鬼原の部屋へと向かう。
「(………絶対、見つける…)」
早く彼女の姿を見て、声を聞いて、安心したい……
そのことだけを思いながら、彼女の笑顔を思い出すと
―――家康っ!!――
ズキンっっ!!!!
「っっ……!!!?」
突然、頭に激痛が走り、思わず頭に手をあて、その場に立ち止まる。
「(………なん…だ………今の………)」
花が咲いたみたいに満面の笑顔で、俺の名前を嬉しそうに呼ぶ彼女の顔が、頭の中に一瞬ちらついた。