第105章 恋した記憶、愛した事実《26》家康side
「監禁って………どういうことですか?」
「そのままの意味だ。自身の屋敷に人質を囲い、領民たちに一切逆らわせないようにしている。人質のことがあるから、領民たちは鬼原の言いなり状態だ。」
「なんですかそれ……かなり腹が立つ話なんですけど……」
前々から、信長様や俺たちに気に入られようと、かなり媚びてた奴で気にくわなかったけど、この話を聞いて、更に嫌悪感が増した。
「しかも、人質にされているのが、若い嫁や娘たちだ。……この意味、わかるな?」
「……まさかっ!」
「あぁ……鬼原の女癖が悪いのは、お前も知っているだろう……逆らった者には、その者の嫁か娘が鬼原に手を出されるんだ。なんでも、『他人のもの』に手を出すことが快感らしいぞ……」
「っ、本当に最低な奴ですね……」
光秀さんの話に、思わず虫唾が走った。
光秀さんも、話して良い気はしてないだろう……。普段は冷静でいるのに、かなり顔が険しくなっている。
「っ!ちょっと待ってくださいっ!!もし、あの娘が鬼原に捕まっていたらっ……!」
「………あぁ。お前もついさっき知っただろう。陽菜とお前の関係を……。だから、鬼原が陽菜に手を出す可能性はかなり高い……」
「っっ!!!!?」
光秀さんの言葉に、一気に頭の中は真っ白になり、心臓もドクドク……と嫌な音をたて、血の気が引いていって、指先が冷えて感覚がない……