第105章 恋した記憶、愛した事実《26》家康side
「なんだ?家康、知ってるか?」
「……さぁ。あの人の行動は謎だらけなんで…」
隣に座っている政宗さんに、小声で聞かれるが、俺も全く知らない。
秀吉さんも三成も、訳がわからない。といった顔をしているから、かなり極秘で光秀さんが調べていたのだろう。
しばらくして、少し警戒を解いた光秀さんが口を開いた。
「………鬼原に任せている領土で、何やら問題があってな……どうやら領民から莫大な量の米などの作物を搾取しているらしい……」
「何?だがあいつからは、規定の量の年貢をいつも納められているぞ?」
光秀さんの話に秀吉さんが顔を険しくし、その横で三成が顎に手をあて、何か考えている様子。
「……もしかして、領民から莫大に米を搾取し、そこから信長様には規程量の年貢を納め、残ったものを自分のものにしている……ということでしょうか?」
「そういうことだ。」
三成の考えた結論に光秀さんは頷き、それを聞いた秀吉さんは、ますます顔を険しくする。
「なんていうことだ……。信長様の治めている領土でそんなことが起きてたなんて……」
「しかし、そういうことが起きていれば、領民から何か訴える声があってもおかしくないですが、そういう声は一切こちらの耳に入っていませんが……」
「………てことは、領民が訴えを起こさないように、何かしてるってことですか?」
俺たちの耳に入ってこないということは、何か理由があるはず。
全員が光秀さんの反応を窺うと、光秀さんの目が鋭くなり、そして、静かに頷く。
「あぁ………鬼原は領民たちの………」
そのとき
「お話し中に失礼致します!!!」
一人の家臣が、勢いよく襖を開け、広間に入ってきた。