第104章 恋した記憶、愛した事実《25》
「(……家康、なんで口づけしたんだろ……)」
『………やっぱり、お礼……貰っていい…?』
お礼って言ってたけど……今の家康にとって、お礼が口づけで良かったのかな……
「(で、でも私……途中から夢中になって……///)」
最初は突然の口づけに驚いて、どうしていいかわからなかったけど、だんだん唇を重ねていくうちに、家康との口づけに蕩けていって、いつの間にか家康の背中に手をまわしてて……
「(し、しかも……じ、自分から求め……っ…///)」
家康との口づけが久しぶりだったから、自分からも舌を絡めたりして………そしたら家康の腕が、ギュッと抱きしめてくれたから、私も家康の背中をギュッと抱きしめかえして…………
『…………は、ぁ………いえ、や………ん…ぁ……』
「(……け、結構長く……///………し、しかも、そのあと……お姫様抱っこまで……///)」
家康との口づけに蕩けきって、夢中になって口づけしてたら、足の力が抜けて崩れ落ちて……
そしたら、家康がしゃがんで膝裏と背中に手をまわしてお姫様抱っこをして……
『………つかまってて…』
頭上から聞こえた、優しい声。
久しく聞いてなかったから、胸がキュウ…っとなって、おずおずと家康の首にしがみついた。
そのまま部屋まで運んでくれて……
『あ、ありがとう、ございます……///』
『…別に……じゃあ…』
その日はそれで終わったけど……
「(……ほ、本当になんで口づけを!?///も、もしかして何か記憶が戻って……?)」
淡い期待を抱いたが、それだったら何かしら行動が変わっていると思うけど、家康は全く変わっていない。
自分で勝手に期待をしただけ……だけど期待した分、落胆の気持ちは大きい。