第12章 動き始めた恋心〈10〉番外編
《秀吉side》
「……やっと笑顔が見れたな…」
陽菜が戦に向かってから、心配と不安で香菜は、あきらかに元気がなかった。
妹が危険な場所に行くから無理もない。
香菜の笑顔が見たくて、いろいろ気にはかけてたんだが……
「陽菜のこと話しただけであんなに笑顔になるとはな…陽菜に嫉妬しそうだな…」
秀吉は苦笑し、天主へ足を向けた。
数日後、陽菜達が戻る報せを受け、信長様と香菜と城門のところで待っていた。
陽菜に久しぶりに会えるからか香菜は朝から嬉しそうにし、今はまだかまだかとソワソワしている。
「(普段は落ち着いてるのに、こういう姿は珍しいな。なんだか可愛いな…)」
「貴様は普段みたいに落ち着いて待っておれんのか」
「え?」
「確かに…そわそわしてて陽菜みたいだな」
「だって、やっと帰ってくるから…無事だとわかってても姿が見えるまで安心は出来ないし…」
「ならば俺が落ち着かせてやろう」
「え?」
「信長様?」
―――グイっ…―――
信長様が香菜の腰を掴み、その勢いのまま
―――ポフ…―――
香菜は信長様の胸に倒れこんだ