第12章 動き始めた恋心〈10〉番外編
振り返ると
「香菜、何してるんだ?」
捜していた人がこちらに向かって歩いていた。
「秀吉さん!ずっと捜してて…何か報せが届いた?」
「あぁ、今朝三成からの文が届いた。香菜に伝えようと思って、針子部屋に向かおうとしてたところだ。」
「え…ごめんなさい。忙がしいのに足を運ばせちゃって…」
私が気になりすぎるから、勝手にしてるのに……
「気にするな。いくら政宗達が居てるとはいえ、やっぱり戦場だから俺も陽菜のことは心配だ。少しでも早く香菜の不安が落ち着けばと思ってたんだ。」
「秀吉さん、ありがとう…」
「ん。気にするな。」
優しく頭を撫でてくれた。
「三成の文には、支城は守りきって越後への牽制のために、敵陣まで斬り込んでいる。向こうの援軍が来るまでに全てを終わらせる構えだ。直に終わるだろう。」
「陽菜も救護、頑張ってるみたいだぞ。もちろん、怪我などもしていない。」
笑顔でそう話してくれた。
「ほんとっ!?良かったぁ…」
無事がわかり、胸を撫で下ろす。
「秀吉さん、教えてくれてありがとう!」
花のように笑った香菜は、嬉しそうに秀吉の手を両手で掴み上手にブンブン振っている
「お、おう…」
「じゃあ、私針子部屋に戻るね!また何かわかったら教えてね!」
香菜は針子仕事に戻っていき
秀吉は
「……やっと笑顔が見れたな…」
ひと安心していた。