第103章 恋した記憶、愛した事実《24》混合目線
ほんのしばらく、静かな時間を過ごしていたら
「…………月……綺麗ですね……」
彼女が、静かに落ち着いた声をこぼした。
その声に導かれるように、彼女の方を見ると………
「……っ………」
月明かりに照らされた彼女の横顔が
息を飲むほど綺麗で………
その姿を、自分だけのものにしたくて………
思わず腕を伸ばして、ほぼ無意識に彼女の頬に触れた。
「っ……家康…さん……?」
触れたことでピクリと肩が跳ね、反応した彼女は、壁から背を離して、覗きこむように俺の顔を見る。
「ど、どうしました……?」
「………………」
彼女の質問には答えず、壁から背を離して彼女に近付き、頬に触れていた手を顎へと滑らせ、顎を少し持ち上げる。
「……家康…さ……」
「………やっぱり、お礼……貰っていい…?」
「え?」
俺の言葉に、キョトンとした彼女。
俺は彼女の返事を聞く前に
彼女の唇に口づけをした。