第103章 恋した記憶、愛した事実《24》混合目線
それは、家康と恋仲になって、初デートをした翌日……
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「陽菜、いる?」
「家康?どうぞ。」
家康の声が聞こえ、返事をすると、すぐに襖が開いて家康が部屋の中に入ってきた。
「今、大丈夫?」
「うん。世話役の仕事の休憩中だから、大丈夫だよ!それより何か用事?」
襖を閉めると、家康が私の前に座って、お互い向き合った状態になった。
「うん。手、出して。」
「手?はい」
言われた通りに右手を出すと、家康が袂から何かを取り出して、私の右手に何かを乗せる。
家康の手が離れると、赤い花の飾りが蓋についている白い陶器の丸い入れ物が乗っていた。
「わぁ!!可愛い入れ物!でも、これ何?」
ほのかに甘い香りがする入れ物。練り香水かな?と思っていると
「昨日話した、保湿効果のある軟膏。作っとくって言ったでしょ。」
「えっ!?もう作ってくれたの?別に急がなかったのに……」
「でも持ってるやつが無くなりそうって言ってたでしょ。だから早い方がいいと思って。」
「家康……」
忙しいなか軟膏を作ってくれて、それを今日も軍議があるのに、休憩の合間に持ってきてくれて……
家康の優しさが嬉しくて、軟膏を持ったまま、家康に抱きついて、家康の頬に口づけを落とす。
「っ…陽菜?///」
「えへ///……ありがとう。大事に使うね!」
嬉しくて笑顔で家康にお礼を言と、家康が安心したように口角が少し上がった。
すると、家康の手が私の顎に触れ
「お礼の口づけは、頬じゃなくて口に欲しいんだけど。」
「えっ!?///……んっ!!」
艶っぽい低い声でそう言うと、すぐに家康の唇と重なりあった。
「……ふ……ぁ………いえ、や……///」
「……………陽菜……」
舌を絡ませた深いお礼の口づけは、二人が満足するまで続いた。
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