第103章 恋した記憶、愛した事実《24》混合目線
「………別に……いいけど……」
「!!!ありがとう!!」
家康からの了承の返事に、緊張が一気に解放され、嬉しさで頬が緩む。
咄嗟に敬語じゃなく、普段の話し方でお礼を言ってしまい、「あっ」と焦る。
「………で、何話したいの?」
だけど、家康は対して気にもせず、促してくれたことに内心ホッとし、私も家康と同じように廊下の壁に少し凭れた。
「えっと……あっ、あの!この前は火傷の手当て、ありがとうございます。」
すぐに話の話題が思い浮かばず、言えていなかった火傷の手当てをしてくれたお礼を言う。
「あぁ……。別にあれぐらいのことでお礼言わなくても……」
「いえっ!家康さんのおかげで、すぐに治ったので。本当にありがとうございます。」
「………そう。治ったなら良かったよ……」
言いながら、家康の顔つきが少し優しくなる。
それに家康の声が、優しく落ち着いていて、安堵が混じっていて……
なんだか嬉しくなった。
「あ、そういえば秀和くんなんですけど、秀吉さんと私のお姉ちゃんと、どっちに似てると思います?」
嬉しさを噛みしめながら、家康にまた話しかけた。
「………さぁ…。ずっと秀吉さんの腕の中で寝てたから……髪色は秀吉さんと一緒だと思うけど……秀吉さんに似たら、かなりの世話焼きになるだろうね。」
話しかけたことに対して、返ってくる返事。
それがすごく嬉しくて、他愛ない話を、ポツポツとしていた。