第103章 恋した記憶、愛した事実《24》混合目線
「……………まぁ……」
家康の声に、頬から手を離し、まだ顔の熱は下がっていないけど、俯けていた顔を少し上げる。
「あんた本当に隙だらけだし、その辺は気をつけた方がいいんじゃない。そんなに隙だらけだと、揶揄われるだけじゃなくて、人攫いとかに狙われるよ。」
確かに家康の言う通り、人攫いとかに逢わないためにも、隙だらけなところは、気をつけないといけない。
「そうですよね…。気をつけます。」
私のために言ってくれた言葉。それをしっかりと受け止めて、私はちゃんと返事した。
「………そうして……」
私の返事に短く家康も返事をしたら、廊下の壁に凭れて、外へと視線を向けた家康。
「「………………」」
続いていた会話が止まり、どうしていいかわからず、そのまま立ち尽くす。
本音を言えば、このまま一緒に居たい。
だけど、家康が一人で居たいなら、立ち去らないといけない。
「(……少しだけなら…いいかな………)」
緊張で震える手。
ギュッ。と握りしめて………
「っ……あのっ……!…少しだけ、お話とか……出来ますか?」