第12章 動き始めた恋心〈10〉番外編
《姉side》
陽菜達が戦場へ向かってから、香菜は針子仕事に精を出していた。
「(陽菜、大丈夫かな…)」
手を動かしながらも、気になるのは妹の安否
「(キリがついたら、また秀吉さんに状況を聞きに行こう)」
陽菜達が出陣した次の日から、休憩の度に秀吉を捜し状況を聞いていた。
「(昨日、支城は守りきったって言ってたけど…どうなったんだろ…もう何か報せが届いてるかな…)」
針子仕事も一旦キリがついたため、針子仲間達に休憩してくると伝え、香菜は秀吉を捜しに針子部屋を出た。
まず、広間を覗いたが誰の姿もなく、あちこち捜したが秀吉の姿は見えなかった。
「(…居ない…天主で信長様と会議かな…それか城下の見回り?)」
天主に居てる可能性は高いが、戦の状況を聞くだけの用に天主へ向かうのは如何なものだろう……
かといって、城下に出て行き違いなどになるのも嫌だし…
それにあちこち探し回ったから長いこと針子部屋をあけて、他の針子さん達に申し訳ないし…
時間的に城下へ行くのはやめよう。
天主へ行くか部屋に戻るか……
香菜が悩んでいると
「香菜?」